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「民泊」兵庫に根付くか 条件緩和も許可申請ゼロ

投稿日 : 2016年4月11日 | 最終更新日時 : 2016年4月11日

 一般住宅に観光客らを有料で泊める「民泊」の営業許可を取りやすくするよう、今月1日に政令が改正され、違法営業が横行する状態の改善が期待されているが、兵庫県内での許可取得の動きは低調だ。民泊については制度がなお固まっておらず、提供者側にとっては条件が緩和されても依然、許可のハードルが高いことなどが背景にあるという。

 民泊の実態に詳しい「一ノ木事ム所」(神戸市東灘区)の行政書士木村一雄さん(46)によると、米国発の仲介サイトを中心に5年ほど前から日本でも普及し始めた。

 1人当たりの1泊料金は数千円が多いが、1万円を超えるところも。日本の法制度で想定されていなかった宿泊様式のため、県内の各自治体は「詳細は把握できていない」との立場だが、木村さんは「神戸市内だけで300件以上が営業しているのでは」と指摘。利用の中心は訪日外国人観光客という。

 国は、外国人観光客の増加による都心部でのホテル不足を解消するための打開策として期待する一方、有料で人を泊めるのに必要な旅館業法上の許可を取らない違法営業を問題視。今月1日、改正旅館業法施行令を施行し、客室面積やフロント設置の要件などを緩和して、カプセルホテルやペンションが該当する「簡易宿所(しゅくしょ)」の許可を取りやすくした。

 だが、県内の動きは鈍い。同法を所管する県と神戸、尼崎、西宮、姫路の4市によると、「空き家を民泊に使用したい」などの問い合わせはあるが、7日時点で改正に伴う許可申請はないという。

 神戸都心部のマンション一室で無許可営業を続ける30代の男性は「アジア系の観光客を中心に7割程度の稼働率を維持している。ビジネスとして十分に成り立つ」としつつ、「許可のハードルはまだ高い」と漏らす。簡易宿所は、都市計画法上の住居専用地域では原則として営業できない。構造基準では消防法などの規定を満たし、食事を提供する場合は食品衛生法上の許可を取る必要も出てくる。

 国は有識者会議を設け、民泊の在り方や法規制について検討を続けており、男性は「明確に定義付けられれば、必要な許可を取るつもりだ」と話した。

 一方、今回の改正が違法営業の自粛につながるとの見方も。木村さんによると、仲介サイトで閲覧していた百数十件のうち、半数程度が今月1日前後に掲載されなくなった。「政令が改正されても許可を取れないオーナーが、取り締まりが強化される不安を感じて削除したのだろう」とみる。

■兵庫県など、条例化「検討せず」

 規制緩和などが可能な国家戦略特区の指定を受ける兵庫県では、「民泊条例」を定めれば、旅館業法の規定とは別に独自の要件を設定することができるが、兵庫県内の自治体に動きはない。

 民泊条例は、同様に特区に指定されている大阪府や東京都大田区で既に施行。兵庫県内では県と神戸、姫路、尼崎、西宮の4市が定めることができるが、取材に対し各担当者は「検討していない」で一致する。

 県生活衛生課は「民泊の必要性をそこまで感じていない」と説明。観光庁の2015年宿泊旅行統計調査によるホテルや旅館など宿泊施設の稼働率が、東京都(82・3%)や大阪府(85・2%)と比べて兵庫県は58・9%と低く、需給バランスの問題もあるという。

 さらに、民泊条例で認める施設には、7日以上の連泊が条件とされ、条例を施行した大阪府などでも実効性を疑問視する声が出ている。神戸市の担当者は「1泊や2泊の利用が大多数を占める中で、長期滞在のニーズがあるとは考えられず、条例化の意義は薄い」と話す。

 一方で民泊に対しては、騒音やごみなどを巡る近隣トラブルを心配する声も多い。このため県は提供者を対象に、迷惑行為を防ぎ、苦情窓口の設置や近隣への周知も求める指導要領を定めることを決めた。神戸など4市と調整の上、5月の施行を目指すという。

 【民泊】個人のワンルームマンションや一軒家などを旅行者に有料で提供する。仲介業者のインターネットサイトで予約するのが一般的で、提供者側は空き部屋を有効活用でき、利用者側は宿泊先の選択肢が増えるのが主な利点とされるが、賃貸物件の無断転貸や近隣トラブルなどの問題もある。国は4月から「簡易宿所」の延べ床面積基準を「宿泊者が10人未満の場合は1人当たり3・3平方メートル」などと緩和する一方、在り方や法規制を検討する有識者会議で議論を継続。6月ごろにまとまる最終報告を踏まえ、位置付けを固める方針という。

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