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【DCの街角から】民泊サービス拡大の功罪

投稿日 : 2019年1月28日 | 最終更新日時 : 2019年1月28日

[西日本新聞]

2019年01月26日17時00分 (更新 01月26日 17時10分)

記者が南部の州で宿泊した民家
記者が南部の州で宿泊した民家

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 私が出張でよく使うのが民泊だ。先週、南部の州の田舎町を取材で転々とした際も、民泊仲介サイトで探すと、行く先々で部屋を確保できた。1カ所だけ見つからない町があったが、民泊を最近始めたばかりという家を取材相手が教えてくれた。

これまで10軒近い民家やアパートに泊まったが正直、「はずれ」の物件もある。シャワーのお湯の出が悪かったり、隣室に家人や他の宿泊客がいて、時差の関係で明け方に日本とやりとりが必要な仕事の電話がしづらかったり。ビジネスホテル並みに快適な一晩を過ごせるかは、泊まってみないと分からない。

それでも民泊を使うのはホテルより割安なことが多いというだけではない。宿のご主人や奥さんが地域のことを詳しく教えてくれることが多いからだ。中には取材先探しを手伝ってくれた人もいた。

世間話をしながら、今の米国をどう見ているかを聞けるのも楽しい。先週の出張でも「政府閉鎖はお粗末すぎる」と怒る夫婦がいれば、「来年の選挙でもトランプ大統領に絶対投票する」と熱く語る男性もいた。

かつて訪れた中西部の町では「トランプがいかに地方の味方か」を夜中まで語り続けたおじいさんも。世論調査ではつかみづらい「トランプファン」の本音を知る上で大いに役立った。

☆    ☆

都会や地方を問わず全米各地で拡大している民泊サービスだが、問題も抱えている。

報道によると、観光客などの需要が多い都市部では、富裕層がマンションを民泊用として購入し、貸し出すケースが増加。結果、住居用の物件が減り、住宅価格の上昇を招く懸念が高まっているそうだ。

さらに宿泊客を民泊に奪われる格好となるホテル業界の抵抗も強く、地域によっては民泊サービスの拡大に制約をかけようとする動きがあるという。

新規ビジネスの台頭には課題が付き物で、「自由の国」であっても一定の規制は必要なのだろう。民泊を単なる金もうけの手段ととらえるような、ビジネスライクなオーナーを対象にするなら私も納得がいく。

ただ、私が泊まった民泊のあるご主人は「老後の家計の足しになれば」と子どもが独立して空いた部屋を安く提供し、客との会話を楽しんでいた。彼のような気の良い人たちにまで影響が及ばないか、議論の行方が気掛かりだ。  (田中伸幸)

=2019/01/26付 西日本新聞夕刊=