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五輪後のホテル需要は?CBREがフォーラム開催

投稿日 : 2018年6月11日 | 最終更新日時 : 2018年6月11日

ITmedia スマートジャパン – 2018.06.11

ここ数年、2020年東京五輪やインバウンド(訪日外国人旅行者)で不足するホテルの客室を見込み、大都市圏ではホテルの建設ラッシュが続いている。CBREは不動産マーケットの動向をプレゼンするフォーラムを開催し、この中で五輪前後のホテル市場の展望を示した。

2018年06月11日 06時00分 公開

 フォーラムでは、国内外の不動産市場の展望や近年のトレンド、未来予想図などが講演、パネルディスカッションを通して解説された。この中から、インバウンド需要で沸くホテルマーケットのプレゼンから、ホテル市場の今後の見通しを探る。スピーカーはCBREジャパン ホテルズ、ディレクター 土屋潔氏。

拡大するインバウンド需要と収益成長がホテル開発を促進

CBRE 土屋氏=6月6日、東京・虎ノ門

土屋氏によれば、現在、新規ホテルの供給は主要8都市で、既存ストックの32%に相当する棟数が新たに建設されているという。東京は37%、大阪は40%強、とくに京都では57%と、かなりの新規供給が見込まれる。地方では、札幌、福岡、沖縄はインバウンド影響がけん引し、まだ外国人旅行者の少ない東北は、これからの投資が期待されている。

インバウンド需要増に伴う、ホテルニーズは増え続けており、2017年に対し、2018年4月までで既に15%の伸び。インバウンド自体は、2014年に過去最高を記録してから、現在では日本全国で15%、大阪は世界トップの30%の成長率を示している。今後、伸び率が鈍化したとしても、2020年の政府目標である4000万人は達成される見通しだ。インバウンド増加の背景には、アジア圏で中間の所得層が増え、ビザ要件が緩和され、外国人の旅行者が日本に来やすくなったことがある。

一方で、2016年は、訪日外国人客数ほどには、外国人宿泊者数は伸びなかった。理由として、6月15日に新法が施行される「民泊」の存在が挙げられる。2017年7月~2018年3月の日本滞在中の宿泊施設利用率は、ホテルが80%近くあるが、有償での住宅宿泊(Airbnb、自在客など)が11~12.4%と、旅館の20%に迫る勢いをみせている。今後は民泊新法の施行で、申請に通った合法的な民泊施設しか運営できなくなるため、民泊の供給量がどのように影響するかが注目される。

日本滞在中の宿泊施設利用率

ただ、民泊が継続して増えたとしても、宿泊施設の客室稼働率は、依然として各都市で高止まりが続く。まだまだホテル需要の余地はあるということだ。実際に既存客室数に、2020年までの新規供給客室数を加えたデータを必要客室数(稼働率85%想定)と比べると、東京、札幌、名古屋、福岡は引き続き客室不足になることが分かった。しかし、大阪、京都は、需要に対する供給が上回り、一見すると供給過多に陥るように思える。

大阪・京都の需要回帰でホテル利用客は増加する

土屋氏の予測では、「現状で大阪・大阪を訪れる観光客は、宿泊施設が不足しているため、日帰りまたは周辺の都市に泊まる事態が起こっている」と指摘する。「この流れが、大阪・京都のホテルが需要に応えられるほどに増加することで、大阪・京都のホテル利用客が戻ってくるのではないか」と予想した。

既存+新規の客室数と必要客室数の比較

また、供給されるホテルのタイプについては、宿泊主体型のビジネスホテルとアッパービジネスホテルが全体の90%以上を占めている。なぜなら、ビジネスホテルは、フルサービスタイプのシティーホテルと比較すると、非常に簡単な開発で済むという利点がある。内装、インテリアを画一的なデザイン・建材で統一し、短期間で何棟もの出店攻勢をかけるホテルチェーンはここ数年確かに多くなっている。

土屋氏は現在の供給のうち、宿泊主体型が大半であるとした一方で、グレードが4つ星、5つ星の高級ラグジュアリーホテルの世界各都市での件数を示した。日本にはわずか50件ほどしかなく、米国の1185件を踏まえると、開発余地が大いにあると提言した。なかでも、デザイン性や商品性に優れたブティックホテル(デザイナーズホテル)の登場が待たれると期待を語った。

過去の五輪の国際観光客到着数の推移

2020年東京オリンピック・パラリンピックは、1つの需給の境目とされることは多い。だが、過去の五輪を例にとると、観光旅行やビジネスなどの五輪以外の要因が根強くあるため減ることはないという。そもそも外国人観光客は世界的に増加しつつあり、2020年に12億人を突破し、アジア・パシフィック圏が押し上げていくと五輪後のホテル需要は伸びるとの見解を示し締めくくった。