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五輪開催の東京、民泊に不便さ? 自治体7割で規制

投稿日 : 2018年3月26日 | 最終更新日時 : 2018年3月26日

Nikkei Style – 2018.03.26

https://style.nikkei.com/article/DGXMZO28125120U8A310C1L83001?channel=DF220420167277

日経調査、背景に生活環境の悪化を懸念する住民の声

民泊物件の届け出が自治体の窓口で始まったが…(3月15日午前、横浜市中区の横浜市役所)

 首都圏(1都3県)で条例によって民泊の営業制限のできる自治体のうち半数が独自に規制する方針であることが、日本経済新聞の調査でわかった。全国(3分の1)より規制する割合が高い。都心部では生活環境の悪化を懸念する住民が多いためで、東京都内では7割の自治体が規制する。訪日客の増加でホテル不足が指摘されるが、民泊の普及に影響が出る可能性がある。

民泊を解禁する住宅宿泊事業法(民泊法)では、都道府県、政令市、東京23区などの144自治体が条例を制定して民泊の営業日数・営業地域を独自に制限できる。日経新聞は2月13日から3月2日にこの144自治体に調査した。首都圏では条例で規制できる自治体は41あり、38自治体が回答した。

このうち半数にあたる19自治体が民泊営業を規制する条例を制定すると回答した。特に東京23区では回答した区の8割が規制するとしている。23区では他の自治体より厳しい規制を導入する例が目立つ。大田区はホテルや旅館が営業できない住居専用地域や工業地域などでの営業を年間を通じて禁止する。目黒、中央両区は週末を除いて区内全域での営業を認めない。

千代田区は学校周辺などで家主や管理人が常駐しない場合は営業を認めない。他にも住居専用地域では平日営業を禁じる例が目立つ。周辺住民への事前説明などは求めるが、営業日数や地域は制限しない豊島区のような例は少数派だ。

23区以外でも横浜市は低層住専で主に週末のみの営業に限る。

同じ首都圏でも地域によって差がある。都と八王子、町田両市が権限を持つ多摩地域では条例制定する予定はない。千葉、埼玉両県でも県内自治体すべて予定はないと回答。神奈川県では横浜市以外は県が箱根町の別荘地で繁忙期だけ営業を制限する程度だ。

都心の自治体ほど民泊を規制する傾向が強い背景には、住民の懸念がある。調査では4分の3強に当たる29自治体が民泊に対して、「住民からの苦情がある」と答えた。総じて条例を制定するという自治体は苦情があると答えている。訪日客の急増で宿泊需要が伸びた都市部では違法民泊が横行し、騒音や見知らぬ人が出入りする不安を訴える声が多い。

民泊が地域にもたらす影響では「どちらかというと良い」が11自治体、「どちらかというと悪い」が13自治体と見方が割れた。神奈川、千葉、埼玉の各県や川崎市などが観光客誘致や宿泊施設不足対策に期待する一方、23区は悪い影響を指摘するところが目立った。

2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて、東京を訪れる外国人旅行客は一段と増える見通し。特に五輪・パラリンピックの期間中はホテルの客室が不足したり、料金が高騰したりする恐れがある。民泊が代替の受け皿になり得るかどうかは不透明な状況だ。

◇  ◇  ◇

 日本経済新聞の全国を対象とした調査では、条例で民泊の営業制限ができる自治体の3分の1が独自に規制する方針だった。調査対象の144自治体のうち、有効回答があった129自治体の35%にあたる45自治体が規制する方針を打ち出した。

内容は「営業地域」と「営業日数」が大半を占めている。制限する地域では「住居専用地域」(78%、複数回答)や「学校から比較的近い地域」(44%)が多い。営業日では平日を禁止するなど「曜日」(72%)が最も多く、年末年始や夏休み以外認めないといった「時期の指定」(31%)もある。

民泊が地域にもたらす影響を聞くと、訪日客の誘致など「どちらかというと良い」が24%、生活環境の悪化など「どちらかというと悪い」が29%と見方は割れた。

違法民泊対策も道半ばだ。調査では6割の自治体が課題として「人員や予算」を挙げた。国は罰金を引き上げるが、十分に取り締まれる保証はない。民泊に詳しい日本総合研究所の高坂晶子主任研究員は「官民が協力し、新たな技術やシステムを活用した有効な監視体制づくりを急ぐべきだ。それが民泊のイメージを変えることにもつながる」と話す。

[日本経済新聞朝刊2018年3月11日付と15日付を再構成]