一般社団法人日本民泊協会|公式サイト | 記事 WEDGE Infinity2017年08月28日 11:03「墓場」に「夜逃げ」も……正念場迎える中国のシェア自転車 – 山口亮子 (ジャーナリスト)

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記事 WEDGE Infinity2017年08月28日 11:03「墓場」に「夜逃げ」も……正念場迎える中国のシェア自転車 – 山口亮子 (ジャーナリスト)

投稿日 : 2017年8月29日 | 最終更新日時 : 2017年8月29日

Blogos – 2017.08.28

ライドシェア、民泊といったシェア経済の成長が著しい中国。中でも参入障壁が低く、急拡大を続けてきたのが自転車のシェアサービスだ。Mobike(モバイク)とofo(オッフォ)という2強のほかに多数の事業者が存在する。モバイクが札幌市で事業を開始し、オッフォも9月には日本国内で事業を始めることがニュースにもなった。

シェア自転車の「墓場」が出現
 シェア自転車は、多数の事業者がしのぎを削るホットスポットで、「もはやこれ以上、はやりようがないほどの隆盛ぶり」を示してきた。ただ、マナー違反が社会問題化し、業者の倒産も相次ぐなど、負の側面が露わになってきている。市民生活と密着したものだけに、混戦模様のシェア自転車市場の動向に関する報道は多い。

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(写真:Imaginechina/アフロ)

 このところ盛んに報じられているのは、「シェア自転車の墓場」の存在だ。新華網は8月23日「上海にシェア自転車の『墓場』現る。3万台の自転車が山のように折り重なっている」と報じた。これは上海の静安区にある違法駐車の自転車の安置場所にシェア自転車があふれかえっているというもの。

 「この場所には今年1月から続々と3万台を超える違法駐車の自転車が積み上げられ、毎日少なくとも百以上の違法駐車のシェア自転車が静安区内の道路からここに運ばれてくる」

 上海市が企業側に直ちに違法駐車の整理を行うよう告示を出したことを伝え、こうした放置自転車が街中の若い活力を代表するシェア自転車とは際立った対比をなしていると指摘する。

 人民日報の運営する国際金融報も8月22日、「上海の去年の『地王』はシェア自転車の『墓場』となった」と伝えた。昨年破格の値段で落札された土地が、空き地であるがために違法駐輪車両の墓場になってしまったという。

 「上海交通管理部は、シェア自転車の企業が先を争って市場を占拠するべく、過剰な投入を行い、オフラインの運営管理をおろそかにし、すでに都市の交通秩序と交通の形に重大な影響を与えていると認識している」とする。

 カラフルな自転車の山からは、時折、ロックシステムが発する電子音が聞こえてくるといい、過当競争の結果、多くのシェア自転車が生殺し状態になっているようすが伝わってくる。

過当競争で倒産も
 ところで、シェア自転車の仕組みを簡単に説明すると、スマートフォンなどで利用者登録をし、一定の保証料を払い、利用したいときに車体についているQRコードを読み込めば、ロックが解除される。シェア自転車の場所を検索し、予約することもできる。全地球測位システム(GPS)がついており、目的地に着いたらそのまま乗り捨てればいいという仕組みだ。

 公共交通手段がカバーできないラストワンマイル問題を安い価格で解決できる手段とあって、市民の足として一気に浸透した。ところが、市場でのシェアを高めたい事業者が大量投入した結果、交通の欠点を補うはずのシェア自転車が、逆に交通の妨げになるという現象が起きている。市民のマナーの問題もあるが、十分な停車場所を確保しないまま車両を投入した企業側の責任は大きい。

 爆発的な勢いで広がり、今では1600万台もが投入されているとされるシェア自転車だが、問題点が露わになるにつれ、運営が立ち行かなくなる企業も出てきた。今年6月には全国展開していた悟空単車が社の方針変更を理由にシェア自転車事業から撤退。同月、複数の都市でサービスを展開していた3Vbikeが、車両の大量盗難を理由に運営を停止した。8月には南京市の町町単車が倒産し、会社がもぬけの殻状態だと暴露された。町町単車に至っては、ユーザーが払った保証金の返還が済んでおらず、シェア自転車で初の「夜逃げ」だと騒がれた。

 3Vbikeはその後、車両の防犯機能を強化し、8月19日にシェア自転車市場への復活を宣言した。とはいえ、市場がかつてのような成長が望めない曲がり角に来ているのは、どの媒体も意見の一致するところだ。

求められる量から質への転換
 「シェア自転車の試合の前半の群雄割拠は終わった。第二、第三グループは自発的に一、二線都市から『逃散』する」と伝えたのは8月23日の毎日経済新聞。一線都市というのは上海、北京、広州、深センなど主要都市のこと。二線都市は、そこから一段落ちる大都市のことで、青島やアモイなど。

 圧倒的なシェアを誇る2強に戦いを挑んでも意味がないと判断した他社が、続々と主戦場を地方都市に移していると紹介。「広州や南京など多くの場所でシェア自転車の新規投入が停止される中、モバイクの関係者は次のステージでシェア自転車は新たなレースのトラックに入り、精緻化、知能化した運営が重要で、業界の競争の中核的なパワーにもなると認識している」とする。

 国際金融報は8月16日、「シェア自転車『黄色とオレンジの決戦』再び。(オッフォを)メインテーマにした郵便局とミッキーマウスのカップル自転車、どちらがクールか」と報じた。黄色はオッフォ、オレンジはモバイクのテーマカラーだ。

 オッフォと中国郵政は業態を跨いだ連携で、オッフォをメインテーマにした郵便局を上海市に設置した。壁はオッフォのカラーの黄色で、自転車の車両も展示。一方のモバイクはディズニーとこちらも業態を超えた提携をし、ディズニーのミッキーマウスとミニーマウスの限定デザインの車両を上海市に投入した。

 「モバイクは世界の五カ国の150以上の都市で600万台以上のシェア自転車を投入し、1億以上のユーザーを擁する。一方のオッフォは全世界で800万台以上のシェア自転車を投入し、日に平均2500万回の発注があり、8カ国の170以上の都市の億を超えるユーザーに30億回以上のサービスを提供した」と記事は伝える。

 2強が行政や大企業を巻き込みつつ角逐し、海外にも市場を求める動きは当面続きそうだ。2強の大合併の可能性を指摘する声もある。後半戦に入ったシェア自転車市場はどこに落ち着くのか。目が離せない。