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「イベント民泊」普及に官民連携 周辺住民の空き部屋提供、阿波おどりで効果

投稿日 : 2017年8月21日 | 最終更新日時 : 2017年8月21日

Yahoo!ニュース Japan – 2017.08.21

祭りやスポーツイベントなどが開催された際、周辺住民が自宅の空き部屋などを一時的に提供する「イベント民泊」で、官民連携の動きが加速している。背景には、観光庁が全国自治体に通達したイベント民活のガイドラインで、規制を緩和した動きがある。地方に国内外の宿泊客を呼び込み、消費拡大につなげるのが狙いで、民泊仲介サイトの運営事業者にとどまらず、異業種の人材派遣会社も自治体の支援に動き出した。地域活性化の新たな起爆剤として注目を集めそうだ。

 ◆阿波おどりで効果

 徳島の夏を彩る日本三大盆踊りの一つ「阿波おどり」が12日に徳島市で開幕し、4日間にわたり街全体を踊りの渦に包み込んだ。徳島市がこの一大イベントの開催期間に初めて取り組んだのが、市民に自宅の空き部屋などを提供してもらうイベント民泊だ。

 2016年度に市内を訪れた観光客210万人超のうち、約6割が阿波おどりの期間中だ。祭りの開催中は訪日外国人客も繰り出し、宿泊施設が不足する傾向にある。市観光課の担当者は「宿不足の課題を速やかに解消できる有効な手段としてイベント民泊に目をつけた」と明かす。

 宿泊客の受け入れが可能な期間は11~16日(16日はチェックアウトのみ)。この期間中に延べ約280人が民家の空き部屋などに泊まり、阿波おどりを満喫した。宿泊料金は受け入れ先の市民が決めた。

 これまでも各地でコンサートなどの開催時に民泊を活用する動きはあったが、徳島市での3桁の集客は全国的に例がなく、今回の官民連携はモデルケースとなりそうだ。

 徳島市が受け入れ先を7月下旬まで募集したところ、36人(計65室)が応募。宿泊客1人当たりの床面積3.3平方メートルを原則確保▽住宅用火災警報器の設置▽衛生上の適正な管理-などを条件に審査し、31人(計57室)が選ばれた。受け入れ先は子供の独立を機に使わなくなった部屋など多彩だ。徳島市は今後、自宅提供者と宿泊客の双方の反応を検証し、イベント民泊の活用を検討するという。

 徳島市と組んだのが人材派遣大手のパソナで、受託事業として空き部屋の募集の告知から自宅提供者への説明まで一貫して手掛けた。

 同社ソーシャルイノベーション部の星野翔太マネージャーは「旅行客がイベントをきっかけに泊まれば、飲食店や観光地を周遊してお金を落とす機会が増える」と経済効果を期待する。住民との距離を縮めやすい民泊の特徴にも注目し、「住民との交流を通じて伝統文化の魅力を知った旅行客がリピーターとなる流れも期待できる」と強調する。

 同社と民泊の専門人材育成などで5月に提携した民泊仲介世界最大手の米エアビーアンドビーも、仲介サイトで徳島特集を行うなどの集客支援を担った。エアビーアンドビーは「今後とも民泊を生かして地域活性化を後押ししたい」(広報)と意欲を示す。

 既に民泊仲介サイト運営の百戦錬磨(仙台市)もイベント民泊の支援で実績づくりを加速している。東北の伝統的な夏祭りで知られる「相馬野馬追」(福島県南相馬市)などで開催地の自治体と連携した。同社は観光客が青森県平川市に滞在し、「平川ねぷたまつり」や農業を体験するモニターツアーにも協力しており、培ったノウハウでイベント民泊と体験プランを組み合わせた事業拡大を狙う。

 ◆集客の呼び水に

 観光庁が昨年4月、イベント開催時の民泊活用に関するガイドラインを全国の自治体に通達しことを契機に、自治体、企業の動きが活発化。今年7月の改訂版では、宿不足が見込まれる年数回程度のイベント開催時に自治体の要請で自宅を提供する場合、旅館業法の営業許可を不要とした。

 同庁によると、16年の訪日客の延べ宿泊者数は6939万人。このうち、三大都市圏にある8都府県(東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知、大阪、京都、兵庫)は前年比3.4%増の4186万人を占めた。同圏以外の地域は2753万人にとどまったが、伸び率は9.5%と三大都市圏を2年連続で上回った。

 16日の記者会見で、同庁の田村明比古長官は「宿泊施設が足りなくなる繁忙期に民泊を活用するポテンシャルは相当程度ある。ルールの下で健全な民泊サービスを普及させたい」と述べ、国としても訪日客の誘致につながるイベント民泊を後押しする考えだ。(臼井慎太郎)